健康診断編

2015/01/01


はじめまして。

私は香川県の高等学校で学校医を務める50代の医師です。


養護教諭と学校医は健康診断や病気の対応などで連携する機会が多くあります。

ただ、一口に連携と言っても学校の事情も違い、

医師の年齢や性格もそれぞれに違いますので、

対応に苦慮されている養護の先生も多いのではないでしょうか。

そこで、一人の学校医として私の考えをお話しすることで、

少しでも養護の先生の参考になればと思います。


今回は健康診断に対する考えをお話しします。


1.健康診断時の環境づくり


毎年春新入生を迎えると、

学校に出向いて健康診断を開始するのが仕事始めになります。

この時、高校生くらいになると一定のプライバシーの確保と

室内の気温には気を付けてほしいと思います。

健診中の注意としては、とにかくうるさいのが困ります。

あまり一度にたくさんの生徒を集めると暇な生徒がワイワイガヤガヤし始め、

先生たちが大声でしかるといった悪循環になります。

できましたら、多数の生徒を一度に集める際は

補助の先生を増やすなどの対策をとっていただければと思います。

私の学校は、看護科があるため看護師の先生たちが協力して介助にあったってくれており、

その点ではとても助かっています。


2.診断時の流れ


私の健康診断スタイルは、簡単な問診後、必要な生徒には

小学校・中学校と積みあげてきた健康に関する資料などを基に、

定期検査や受診状況などを聞きます。

この時、養護の先生から情報を頂けると大変やりやすいです。

診察ですが、まずは、ここでは顔色と眼瞼を診ます。

貧血や目の充血などをチェックします。

そして、女子は甲状腺を必ず診察します。

思春期になると橋本病やバセドウ病がしばしば見つかります。


3.聴診の問題


小学校や男子校ではあまり問題になりませんが、

高校生になると女子生徒の聴診は大変悩ましい問題になります。

昔のように全員上半身裸で一列に並べなんて言える時代ではないですから大変です。

はっきりした基準でもあればいいのですが現状では現場の裁量、

いわば学校医に任されているように感じます。

学校医同士でもやり方が違ったりするとひと騒動です。

私は、基本的に心臓の音と呼吸音はしっかり聞きたいので、

上半身は制服のブラウスではなく、体操服またはTシャツの着用を許可し、

自分で許せるところまで上げてもらって聴診するというやり方をとっています。

なるべく抵抗感がないように気を付けるようにしています。


4.背中の診察


最近は、着衣のままの診察のためかしばしば脊椎湾曲症という

背骨がまがった子供が見過ごされていることがあります。

背中の聴診は比較的抵抗感がないようなので、

補助の方にしっかりあげてもらい、視診を行います。

これだけで十分観察できます。


5.健康診断後


健康診断などに行くと、

お茶やお菓子を出してもらったりしたことがありますが、お互いに忙しいし、

生徒が出入りする保健室ではゆっくり飲むこともできないので

私は必要ないと伝えました。

「健診が終わると休まれますか」と聞いて必要ないと言われたら、

用意する必要はないと思います。




今回は健診をテーマにお話ししましたが、

学校医とのコミュニケーションで難しいところ、

こういうところで困ったなどがありましたら、

私の分かる範囲でお答えしますので、

こちらへお気軽にご質問ください。


それでは、また。